カテゴリー別の集客率
これまで入場者数の実数や平均入場者数について分析してきました。
入場者数で分析する場合は、収容人数の多いホームスタジアムを持つクラブが上位に来ます。
今回は各クラブのスタジアムの埋まり具合(集客率)でJリーグを分析していきます。
スタジアムの埋まり具合については、集客率を以下のように設定しました。
集客率の計算方法
集客率 = 入場者数 ÷ スタジアムの入場可能数
まずは、カテゴリー別に分析していきます。
年度別の入場者数をグラフにしました。
J1は右上がり、J2・J3は横ばいになっています。
J3は横ばいですが、実際にはチーム数が増えて入場者数が増えています。
1クラブあたりの平均入場者数で見ると下落傾向にあります。
詳細についてはこちらの記事を参考にしてください。
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Jリーグの入場者数を「平均」を使ってまとめる
Jリーグの入場者合計と平均入場者 Jリーグ全体の入場者合計と平均入場者を見ると、入場者数が増加傾向に対して、平均入場者が横ばいになっていました。 グラフを並べると、こんな感じになります。 ...
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合計入場者数を確認したうえで、カテゴリー別の集客率を見てみます。
年度別の集客率をグラフにしました。
入場者数と同じようにJ1は増加傾向、J2は横ばいです。
J3はチーム数が増加しているので、集客率では下落しています。
J1も入場者数が増えているとはいえ、スタジアムの6割ほどしか埋められていません。まだまだ、入場者数を伸ばす余地があります。
J2になると、スタジアムの半分も埋まっていない状態です。
J3は、集客率が2割に満たず減少傾向にあります。入場者数の減少は急務と言えます。
クラブ別の集客率
カテゴリー別は、合計入場者数のグラフと結果的には同じことが分かりました。
カテゴリー全体の入場者数の傾向をおさらいした所で、クラブ別の集客率を分析していきます。
(ここからは、J3は割愛しています)
2020年J1所属クラブの年度別集客率
クラブ別に集客率を見ると、Jリーグ全体で見た時と状況が異なっています。
1つの目標ラインとして、集客率が8割の所に線を入れてみました。こうすると、かなり上限に近づいてきているクラブが出てきていることが分かります。
該当するクラブは、2万人~3万人の中規模の収容人数のスタジアムを持つことが共通しています。
チケット収入は、チケット単価×入場者数で決まりますから、入場者数の限界が見えてきたクラブは、チケット単価を上げることも検討する必要がありそうです。
2020年J2所属クラブの年度別集客率
2019年は松本だけが8割を超えることが出来ました。磐田も8割は超えていないものの高い所をキープできています。
残りのクラブは、横ばいが続いています。
最多集客率ランキング
最多入場者数で見ると、大きなスタジアムを持つ浦和と横浜FMが有利でした。では、埋まり具合(集客率)で見ると変化があるか確認したいと思います。
2010年~2019年のJ1とJ2を合わせた集客率をランキングにしました。
上位1位~5位までをJ2の試合で占めることになりました。
しかも 、入場者数が入場可能数を超えて集客率が1倍以上になっています。
参考
Jリーグの試合では、通常、緩衝帯を設けるので実際の収容可能人数より少ない人数を入場可能数としています。
例えば、1位の岡山のカンスタ(現:Cスタ)の場合、施設の紹介を見ると20,000人収容となっていますが、 Jリーグのスタジアム紹介を見ると15,479人となっています。
恐らく1倍を超えるのは、緩衝エリアを減らしたものだと考えられます。
【入場者数の例】
スタジアム公式:岡山県総合グラウンド (シティライトスタジアム)
Jリーク公式:ファジアーノ岡山(シティライトスタジアム)
さて、順位の方ですが入場者数の要因が多かったのは、以下の通りです。
1位:各地で入場者数を更新したガンバの試合
2位:8月の夏休みの試合だからでしょうか?理由分からず…
3位:岡山の最終戦で横浜FCの昇格争いが絡んだ試合
4位:長崎がJ1を決めた試合
5位:いつもの維新公園ではなく、収容人数の少ない下関の試合
山口の試合の会場のキャパシティの問題というのは、集客率ならではの理由ですね。
集客率のランキングをJ1に絞ってみると、次のようになります。
清水が、J1の上位を独占する結果となりました。
1試合の集客力の強さという意味では清水が1番です。
J1だけの集客率のランキングは1位~11位までが清水の試合という結果になりました。
平均集客率ランキング
それでは、年間を通して安定して集客率が高かったクラブを確認していきます。
2019年の集客率のランキングは次のようになります。
上位4チームまでが、年間通しても8割を超える結果になりました。
川崎Fに至っては、集客率が9割も見えてきていますね。
収入的には、今後はチケットの単価を上げる工夫が必要な時期に差し掛かってきています。
同様に、2010年~2019年のJ1のクラブで集客率1位を獲得したことがあるクラブは、川崎Fに加えて、仙台と清水の3チームとなります。
この3チームの集客率の順位の推移をグラフにしました。
2013年以降の川崎がすごいです。2015年のスタジアム改修と昨今のチームの強さもあり4年連続で1位をキープしています。仙台は逆に下降気味で、清水は持ち直しつつあります。
同様にJ2のクラブで、1位を獲得したことがあるのは大宮と松本です。ここに過去に2位を獲得したことのある甲府を加えてグラフにしました。
大宮と甲府は下降気味、松本は底を脱した感があります。
2万人前後のスタジアムをホームスタジアムとするクラブは、集客率の順位とチームの好調さが何となく連携しているように見えます。
関係性については、今後、もう少し確認していきます。
Jリーグの集客率まとめ
入場者数の実数のランキングと比べて、集客率のランキングには登場するクラブの顔ぶれが変わることが分かりました。
大きなスタジアムを持つクラブは、今後も入場者数を増やしていく必要があります。
一方で、上限に近づいているクラブは、チケットの単価を上げる、又は、スタジアム内での出費を含めて1人あたりの売り上げ単価を検討する必要がありそうです。